USSの9月成約単価が13カ月ぶりに前年割れ 中古車市場は仕入れと在庫を見直す「選別相場」へ
オークション成約単価が13カ月ぶりに前年を下回る
株式会社ファブリカホールディングスの完全子会社である株式会社ファブリカコミュニケーションズ(本社所在地:愛知県名古屋市中区、代表取締役社長CEO:谷口政人)が、2026年9月の『中古車市場統計レポート』をまとめました。同社が運営する中古車情報サイト「車選びドットコム」が、新車・中古車の登録台数の推移と同サイトの販売台数の推移をもとに中古車市場の動きを整理したものです。同じ内容は、同社が運営する「symphony – 中古車販売お役立ち情報」でも公開されています。
今回の中心となるデータは、USSの9月オークションです。成約単価は127万5千円(前年比▲2.2%)となり、13カ月ぶりに前年を割り込みました。出品台数は32万9,966台(同+19.2%)と増えましたが、成約台数は21万2,488台(同+9.2%)にとどまり、成約率は前年の70.3%から64.4%に下がっています。一方で、単価は前月比では+2.2%、上期累計では前年比+6.5%と高い水準を保っています。レポートは、相場全体の値崩れを見込むよりも、売れる条件と仕入れ値を見極めることが重要な局面だとしています。
レポートは、前年割れの背景として次の3点を挙げています。
- 出品の増加:開催回数を前年と同じ集計条件にそろえた参考計算でも、1開催当たりの出品は約+10.2%、成約は約+1.0%。開催日程の影響を考慮しても、出品側の伸びが大きい
- 成約率の低下:9月の64.4%は、8月の66.8%、前年9月の70.3%をいずれも下回った。出品から成約を引いた不成約は延べ11万7,478件で、前年比+42.8%。再出品を含むため月末在庫そのものではないが、売り手の希望条件で成約させる難しさが増していることを示す
- 前年の価格水準の高さ:前年9月の単価は130万3千円。今月はこれを下回ったものの、前月の124万8千円からは2万7千円上昇している。前年比の反転を、そのまま足元の急落と読むのは早い
また、平均単価は成約車の車種・年式の構成によっても変わるため、仕入れ判断には同条件の直近成約を使うべきだとしています。USSの上期の成約単価は128万6千円(前年比+6.5%)、成約率は65.0%(前年65.6%)で、上期全体では高い価格水準が続いています。10月については、単価の前年割れが続くかどうかに加え、自店の主力車種でも仕入れ相場が下がっているかを確認するよう求めています。
新車・中古車・輸出のマクロ動向
新車は上期5.1%増、登録車と軽で明暗
9月の国内新車販売は、登録車27万1,900台(前年同月比+2.5%)と軽16万1,783台(同▲0.6%)の合計43万3,683台(同+1.3%)でした。登録車は8月の20万3,664台から前月比+33.5%となりました。軽は2カ月連続の前年割れで、乗用車が▲2.7%、貨物車が+7.0%と用途によって動きが分かれています。4〜9月の上期は229万2,064台(同約+5.1%)で、内訳は登録車150万4,178台(+9.6%)、軽78万7,886台(▲2.5%)でした。9月のブランド別では、トヨタ12万2,674台(+1.9%)、スズキ6万9,113台(▲0.6%)、ホンダ5万6,161台(▲11.9%)、日産4万5,329台(+17.6%)、三菱1万3,456台(+20.5%)となっています。輸入車の新規登録は4万4,261台(+9.3%)で、外国メーカー車2万7,265台(+3.8%)に対し、日本メーカー車の輸入は1万6,996台(+19.5%)と全体の38.4%を占めました。
中古車登録は減少、輸出は仕向け先で差
9月の中古車登録は29万5,436台(▲4.6%)、軽中古車は22万9,930台(▲3.2%)で、合計52万5,366台(▲4.0%)でした。4〜9月は315万25台(▲0.5%)で、登録車177万875台(▲1.1%)、軽137万9,150台(+0.3%)と、減少は登録車に偏っています。なお、これらは登録・名義変更などの手続きに基づく指標であり、店舗の小売販売実台数とは異なります。また、9月の国内中古車登録・届け出は前年より約2.2万台、輸出抹消は約2.4万台減りましたが、登録・抹消・AA出品は対象や時点が異なるため、この減少分がAAへ流れ込んだとはいえないとしています。
財務省の9月貿易統計では、自動車輸出額が前年比+15.1%でした。税関長公示レートの平均は157.43円/ドルで、前年同月比では6.7%の円安ですが、8月の160.64円からは円高方向に振れています。中東向けの自動車輸出(新車・中古合計)は5万1,014台(▲35.2%)で、下げ幅が5カ月ぶりに拡大しました。中古車に限った8月のJUMVEA集計では、全体が14万4,447台(+7.2%)だった一方、UAE向けは▲87.2%。ロシア1万8,024台、タンザニア1万6,920台など、輸出先による差が大きい状況です。輸出抹消は9月単月で▲15.8%でしたが、8〜9月合計では+4.5%、1〜9月累計では+5.7%と前年を上回っており、レポートは中東向けの低迷と他地域の動きを分けて見る局面だとしています。
車種別・燃料別の動きとEV補助金の見直し
登録車の乗用車通称名別では、ヤリス1万4,230台(前年比+4.1%)、カローラ1万1,321台(▲1.8%)、シエンタ1万468台(+40.2%)が上位に入りました。ランドクルーザーは7,362台(+67.0%)で5位。SUVではRAV4が5,120台(+135.5%)、CX-5が4,394台(+86.2%)と増えた一方、ライズは4,066台(▲56.8%)でした。クラウンは2,509台(▲53.1%)、キックスは3,690台(+301.1%)です。レポートは、同じSUVでも動きが分かれるため、ボディタイプだけで仕入れ枠を広げず、車種ごとに新車の納期・実売価格と中古車の競合在庫を見比べるよう促しています。なお、キックスのe-POWERはハイブリッドで、EVには含まれません。
軽では、N-BOXが1万9,105台(▲12.0%)で首位を維持しましたが、スペーシア1万6,088台(▲1.9%)との差は約3千台でした。ルークスは1万332台(+114.2%)、デリカミニ/eKは7,505台(+49.5%)と伸びています。ジムニーは軽が2,497台(▲47.0%)、登録車が6,887台(+42.5%)と対照的な結果となり、N-ONEは2,018台(▲53.5%)でした。
燃料別では、登録車乗用のHVが14万7,496台(+9.5%、構成比62.4%)と6割を超えました。EVは1万3,440台(+199.7%、同5.7%)で、bZ4Xが3,231台、リーフが2,013台です。ただし、EVの約3倍増には前年の低い販売水準も影響しているとして、この伸び率だけで中古EVの仕入れを拡大するのは慎重に判断すべきだとしています。軽EVはサクラ1,371台(▲4.3%)、eKクロス EV170台(+75.3%)、BYD RACCO 442台でした。10月21日発表のCEV補助金見直しでは、2027年1月1日以降の登録・届け出分から交付額が減り、bZ4Xは130万円から78万円、サクラは58万円から45万8千円となります。現行予算の申請受付終了見込みは12月上旬〜下旬で、申請状況により前後するとされています。
レポートが示す年末に向けた4つの対応
年式面では、2021年の国内新車販売が444万8,340台(前年比▲3.3%)、2022年も約420万台へ減少し、回復は2023年からでした。そのため2026年時点の4〜5年落ちは、新車として販売された母数が小さい年式に当たります。ただしレポートは、年式だけで在庫の過不足は決まらず、希少性を理由に仕入れ値を上げる前に、店頭で確保できる粗利と回転を見積もることが重要だとしています。そのうえで、店舗が取り組むべき対応として次の4点を挙げています。
- 10月31日までに、60日超在庫の値付けを再点検する。同じ車種・年式・走行距離の競合価格と直近成約を確認し、問い合わせが少ない車は価格・写真・訴求を、問い合わせはあるのに売れない車は失注理由を集めて調整する(60日は見直しの管理目安)
- 12月商戦に向け、引き合いのある2020〜22年式の買取を強める。買取上限は想定販売価格から整備費・商品化費と必要粗利を引いて決め、回転の見込める車を確保する
- 11月上旬までに、EVの車種別仕入れ上限を更新する。補助金適用後の新車価格と中古の販売価格を並べ、電池状態・保証残による差を査定に反映し、EV在庫は週次で価格と商談状況を見直す
- 11月上旬までに、輸出向けSUVの出口と採算を確認する。輸出業者に車種・年式別の引き合いと買取条件を聞き、輸送費を含めて仕入れ上限を更新する。中東向けの商談が弱い在庫は、国内販売や別仕向け先で売却できる条件も確認しておく











